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平成18年6月16日
広島市立広島養護学校 嶽野壽正

医療的ケアについて

 昨年度より、本校を対象として「養護学校自立活動支援事業」が行われています。これは、市教育委員会が本校に看護師を派遣し、医療的ケアを含む自立活動の支援を行うことを目的とする事業です。
対象となる医療的ケアの範囲は、学校において看護師が医療行為(吸引・吸入、経管栄養、酸素療法、導尿、気管切開部の管理、経鼻・咽頭エアウエイ)を行うことに支障がないと主治医が認めたもので、かつ、保護者が家庭において継続して医療的ケアを行っているものとされています。
 この事業は、泊を伴う学習にも適用されており、看護師が同行することで一層の教育効果を上げることができるようになりました。
 医療的ケアについて理解を深めていただくために、それぞれのケアについて随時簡単に説明していきます。今回は「吸引」についてです。
{吸引}
 子どもたちの中には、反射機能の低下や運動障害により、痰や唾液などをうまく排出できずに、のどに絡ませて、ゼロゼロする状態になりやすい子どもがいます。この場合食事が摂りにくくなったり、呼吸障害を起こしたりすることがあり、ひどいときには、窒息を起こしたり、肺炎の原因になることさえあります。
 このような子どもには、まずは痰が出やすくする処置(十分な水分補給・部屋の湿度を高める・去痰剤のネブライザー吸入など)をし、さらに、子どもの状態によってはタッピングやバイブレーション、体位変換等により痰の排出を助けます。
 しかし、このような処置をしても自分では十分に分泌物を排出できない子どもには、手動または電動式の吸引器で、口腔内や鼻腔内、あるいは気管内吸引をして分泌物を取り、呼吸を楽にしてあげる必要があります。こうした行為を「吸引」といいます。

くすのき教室について

 くすのき教室と同じような事業が土曜日(第二土曜を除く)と夏季休業日(期間は限定)に実施されるようです。現在、広島市社会局障害福祉課において計画が検討されています。保護者の皆様には、今後、障害福祉課より、具体的な内容(利用日数・利用人数・利用者の決定等)のお知らせがあると思います。本校児童生徒の休日の生活をより充実するために様々な事業が実施されることは大変喜ばしいことです。障害福祉課のご尽力に感謝申し上げます。本校といたしましても、施設を共用するうえで若干の課題がありますが、できる限りの協力をしていきたいと思っております。

介護等の体験について

 平成10年4月1日から施行された「介護等体験特例法」により、小中学校教諭の免許状を取得するためには、盲・ろう・養護学校並びに社会福祉施設その他の施設で「介護等の体験」をすることが必要になりました。この法律を受けて、本校においては、毎年300名近い学生の皆さんが体験研修として来ています。今年度も、例年通り3回に分けて受け入れることとしています。日程についてはすでにお知らせしたとおりです。
 近年、障害児・者に対する理解が進み、人々の関心はかなり高まっていますが、まだまだ十分とはいえません。障害のある子どもの教育に携わっている私たちにとって障害児・者の理解推進を図ることは重要な課題です。したがって、この制度は、障害児・者や養護学校教育についての理解啓発に関する絶好の機会ととらえ、歓迎しております。参加された学生の感想からは、本校での体験を通して多くのことを学んでくれたことが伺われます。わずか2日間ではありますが、障害児・者への理解啓発に役立っていると思っております。

梅雨空に キャンドルともし 愛の詩 (吉)